選択と集中
2017.08.18経営戦略
選択と集中とは、自社が得意とする又は得意としたい事業分野を明らかにし、その事業分野に経営資源を集中的に投下する戦略のことです。
経済が成熟し始めた1980年代、多くの企業が終身雇用を採用していましたが、リストラにより多くの人員が余ってしまいました。
そこで、それらの人員を活用すべく本業以外の事業分野に進出するという多角化が行われました。
また、多くの事業分野を手がけることでリスク分散を行うという意味合いもあったようです。
しかし、全ての事業において生き残っていくためには、多くの経営資源がなくてはなりません。
多くの事業分野を手がけていくと、一つの事業分野に投下できる資源には限界があるため、どれも中途半端になることが少なくありません。
アメリカでは、1960年代に日本よりも前に合併と買収による多角化が進んでおり、 様々な企業を買収することにより企業は巨大化していきましたが、相関性のない事業間において相乗効果が見られることはありませんでした。
アメリカの総合電機メーカーとして世界的に有名なゼネラル・エレクトリックも、当時は多角化が進んでいましたが、1980年代に最高経営責任者に就くことになったジャック・ウェルチは、市場において1位か2位にいる事業に集中し、収益が上がっていてもそれ以外の事業は売却するか撤退するという方針を打ち出しました。
このことで、多くの事業が再編成され、業績を大きく向上させました。
ゼネラル・エレクトリックはこのような選択と集中で効率的な経営を成し遂げましたが、日本の企業ではバブル経済期まで多角化が積極的に行われるという傾向にあり、バブル経済崩壊後、不況になると選択と集中が取り入れられるようになりました。
成熟化した日本では、経営資源や市場の状況、自社の状態を分析し、明確なビジョンを持って、得意分野への選択と集中をすることがより重要となっています。