比較優位
2017.02.27経営戦略
比較優位とは自国の得意な財の生産に特化し、自由貿易をすれば自国も貿易相手国もお互いさらに多くの財を消費できる(得する)というものです。自由貿易下の国際分業はお互いに利益を生むという理論であり、経済学者デビッド・リカードが提唱した理論です。比較生産費説とも言います。
比較優位に関してはアインシュタインと秘書の例がよく使われます。アインシュタインは研究の他にタイピングなどの秘書業務も有能にこなせるとします。しかし、アインシュタインに秘書業務に専念させようと思う人はいないでしょう。雇った秘書に秘書業務を全部させて、アインシュタインは研究に専念させるべきと誰しもが考えるはずです。同様に、仮にアインシュタインが誰よりも速く美しく掃除をこなせたとしても、掃除夫を雇った方がよいはずです。このときアインシュタインは秘書と掃除夫に対して絶対優位にあるといいます。掃除夫は掃除がもっとも得意なら清掃業務において比較優位を持ち、秘書は秘書業務のスキルしか持っていなければ秘書業務において比較優位を持ちます。
このように、国家も自国が比較優位を持つ財の生産に特化すれば、貿易国間での生産力は総合的に増すことになります。これを国際分業といいます。
この考え方は自社の本業以外の業務を外部の業者にアウトソーシングするかどうかでよく議論されます。結論から言うと、本業以外の業務は自社の会社運営にとって付加価値のある業務でなく、その業務を外部の業者にアウトソーシングすることで将来重大な問題が発生する恐れがない場合は、本業以外の業務はアウトソーシングすべきです。自社のコアコンピタンスにつながる可能性のある業務以外は外部の専門とする業者に任せるべきです。そうすることにより、自社の企業価値も高まり、外部企業の企業価値も高まることになります。